明徳館の設計を担当した金子さんから、メッセージをいただきました!
(竣工式当日の記者会見で、緊張気味の金子さん)
この度は明徳館の竣工をお迎えになり誠におめでたく、心より御祝い申し上げます。
今回の計画地は、大学の入口に位置しており、まさに「顔」となる場所です。設計にあたりましては、本学の顔にふさわしい、品格や機能美を感じられる建物を目指してまいりました。
「外観」については、大学のテーマカラーである橙色のタイルを纏い、2004年に竣工した当社設計のメディア情報センター棟と呼応する水平庇を積層させたシンプルかつシンボリックなものとし、キャンパス全体の景観の統一に配慮いたしました。建物を特徴づける水平庇は、日射負荷を低減するとともに、刻一刻と変わる影を捉え、彫の深い豊かな表情をもたらすことでしょう。また高低差のあるキャンパスの特性を活かし、1階と5階をグラウンドレベルと捉え、5階建ての建物が2つ積みあがった10階建ての建物として計画しました。正門から1階へ、6号館から5階へそれぞれアクセス可能となっており、建物だけでなく、キャンパス内の回遊性を高める計画となっています。
「平面計画」については、EV・階段といったコアを外に出して、28m角のワンプレートの空間をつくり、将来の用途変更やキャンパス建替え時の仮移転先としても機能する、フレキシビリティの高い計画を目指しました。
本計画の主題である7・8階の「アクティブ・ラーニング・コモンズ」では、プロジェクターやスクリーン、照明等を自由に吊るすことのできるグリット天井の採用など、新しい試みに取り組み、多様化する教育プログラムに追随可能な計画を目指しました。当該階は設備機器・配管等が表しとなった天井のない開放的かつ近未来的な雰囲気とし、学生たちが刺激を受ける空間づくりを行っております。また、5階の「カフェ」、6階の「こまちルーム」、5~8階の「パウダールーム」等、学習環境だけでなく、友人と語り合い、交流を深める居場所づくりも行っております。
エントランスホール正面に飾られた35mm角のタイルによる壁画に込められた思いのように、この「アカデミック・コモンズ明徳館」が、「世界に羽ばたく」人材を育てる場として活用され、末永く学生・職員の皆様から愛される建物となることを祈念しております。
設計見直し業務より担当することとなり、至らぬ点が多くある中、理事長、副学長をはじめ、大学のみなさま方には、ひとかたならぬご指導・ご鞭撻を賜りました。特に内装・家具へのこだわりは並々ならぬものがあり、これほど時間をかけて議論した建物はありません。他では得がたい大変貴重な経験をさせていただきました。改めて厚く御礼申し上げます。
また各種の難しい条件の中にあって、工事を予定通り無事完成させた五洋建設株式会社、株式会社中電工、株式会社岡村製作所をはじめ、施工各社のみなさま方の情熱、技術力に対して深い敬意と謝意を表したく存じます。
末尾ながら、大学さまの益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
株式会社日建設計 設計部 金子公亮
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「本当にいろんなことがありすぎて、とても書ききれない」とおっしゃる金子さん。
あえて冷静に、設計者としてのメッセージにとどめたのだそうです。
最後の最後まで、「すべては学生のために」を合言葉に、
良きパートナーとしてがんばってくださいました。
ありがとうございます。
次回の更新にご期待ください。